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『長工大賞』受賞者

 第8回 令和4年(2022年)『長工大賞』受賞

高速道路のETCを始めとする交通管制、道路情報管理システムの開発・実用化
野﨑 敬策(S46e)
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『長工大賞』受賞者の功績

 あなたは、母校を卒業後、松下電器産業(株)(現、パナソニック(株))に就職され、日本の自動車産業の発展と高速交通体系が整備される中で、高速道路のETC(自動料金収受システム)を始めとする交通管制、道路情報管理システムの発明、開発・実用化に従事され、平成8(1996)年には同社にETC開発の総責任者「ETC特別プロジェクト室長」に就任され幅の広い活躍をされました。
 その企画開発は、日本が世界の産業界と互角に戦うための産業インフラの整備であり人間社会の豊かさを求める時代背景と重なります。開発されたETCシステムは社会的に認知され、新たな可能性を帯び「新技術・新商品」として進化・発展しています。さらに、発明技術の延長線上には「ITS」が大きく夢開く時代となりました。
 長岡工業高等学校で学んだ知識を基礎として、最先端、高度な専門知識・技術を修得され、その知見が社会課題の解決に大きく貢献されたことは、正に、長工生の誉れであり後進へのロールモデルであります。
 その功績を讃え、創立120周年にあたり『長工大賞』を授与します。

長工 創立120周年記念誌 令和4年(2022年)10月発行より抜粋

『長工大賞』受賞者の紹介

 昭和46(1971)年3月新潟県立長岡工業高等学校電子科を卒業し、松下電器産業(現 Panasonic)に入社した。最初の勤務地は大阪門真の中央研究所内の技術本部技術能力開発室だった。ここでコンピュータをしっかり学ばせて頂き、3年後には横浜の松下通信工業へ出向となった。2003年3月までITS(高度な交通社会)実現のため様々な交通システムの研究開発、実用化に携わった。警察交通管制システムでは信号制御パラメータ(サイクル・スプリット・オフセット)の最適設計自動システム等も行った。犯罪捜査に活用されている車両ナンバープレート自動読み取りシステム(Nシステム)は世界初だった。高速道路各種システムではハイウェイラジオやトンネル防災システム、渋滞予測・旅行時間推定システム等も行った。世界初の路車間通信によるVICS(道路交通情報通信システム)や狭域無線通信(DSRC)による双方向通信(アクティブ方式)のETC(有料道路料金自動収受システム)は現役最後のシステム開発となった。マスコミやメディアにも取り上げて頂き、雑誌やTV出演も果たした。
 満50歳で松下を早期退職後は第二の人生、交通ジャーナリストとして歩み出した。現役当時から大学等の学識経験者や官庁・民間企業の有識者と繋がりを持った事から、第二の人生は学会活動を主体として講演や座長、論文執筆、学生達の論文発表へのコメンテータを務めた。国際会議にも欧米、アジア等の各国に出向いた。また、大学でも暫く大学院生に対し講義を行った。さらに、自動運転や安全運転支援の研究、地球温暖化対策としての交通社会の有るべき姿等を政策提言した。これらは全て自身にとっての宝物(経験)となった。
 昨年(2022年)10月、栄誉ある「長工大賞」を母校創立“120周年記念式典”で頂いた。2万7千名を超える多くの卒業生の中でこの大賞を頂けた事は感謝の一言に尽きる。一方、今現在も様々な分野等で活躍された方々が沢山居ると思われる。是非、自薦他薦を問わずこれからも母校の学生達の励みになる「長工大賞」受賞者を輩出される事を切に願う。
 最後に「長工大賞」を人生の勲章として母校発展の為、固く深い絆で結ばれている事を心に抱き続けたい。

東京支部だより 第21号 令和5年(2023年) 6月発行より抜粋