先輩から
S20M 松永大先輩からの投稿です。
第68弾です。なお今後も定期的に投稿を掲載して行きます。どうぞご期待ください。
第68弾です。なお今後も定期的に投稿を掲載して行きます。どうぞご期待ください。
第68弾「鍋島君」
松永 巌
元佐賀藩主鍋島侯爵の直系末裔の鍋島淑郎君の事である。彼は学習院高等科を経て、旧制東京大学工学部機械科の出身で私の三年後輩である。卒業後三菱重工横浜造船所研究部に入社。頭書はガス・タービンの試作研究に従事して居た。
数年後産業機械設計課に移り、乾燥機、破砕機、ごみ処理装置、し尿、下水処理装置等地味な機械装置の設計開発に携わった。
特にごみ処理、し尿処理等人の嫌がる様な装置の設計に従事、その造詣の深さは幾つかの大学の非常勤講師を依頼されて居た事からも解る。
後本社に転勤、私と同じ開発部に属し、新機種、新技術の開発に尽力し、この間国内外の学会にも論文を発表、リサイクリング世界会議のチェアマンを初めとし、各種学会の委員等も務めた。しかし彼は「会社でどんな仕事をして居るのか、と聞かれるのが一番嫌だった」と私に言った事があった。私は「人の嫌がる仕事かも知れぬが、人類の最も大切な仕事ではないか。誇りを持ってやり給え!!」と励ました事があった。
会社定年退職後は玉川大学で教鞭を取って居ると聞いて居たが、偶々彼の履歴書の写しが私の手元にあったのと、この文を書くに当り色々聞きたいと思い自宅に電話をして見た所、長女と言う人が出て「父は七年前(二〇一六)他界しました」との訃報に接する事になって終った。彼の生前の業績を称え、追悼の言葉を述べた。長女の方も私の話を聞いて感謝の辞を述べられた。
2023.9.7