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先輩から

S20M 松永大先輩が雑誌「ホトトギス」に掲載した中からの投稿です。
第9弾です。なお今後も定期的に投稿を掲載して行きます。どうぞご期待ください。
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第9弾「米国での交通違反」

松永 朔風(巌)

 米国内で、出張中や旅行中に、一時的にレンタカーなどを運転する時は国際免許か、時によっては日本の免許を示す事で運転する事が 出来るが、駐在員など長期滞在や住民となると、州によって異なるが、私の住んだイリノイ州では必ずイリノイ州の免許証が必要であった。 その為、英文の法規を勉強する必要があり、試験場での面接と法規、実技試験を受けなければならない。面接での早口の英語が解らぬと、 「英語が解らない」とマークされ、試験は通らない。
 昭和五十一年四月より、米国駐在、現地法人役員として約五年滞米することになった。
 レンタカー運転時代に法規の勉強もして居たので試験は難なくパスし、幸いにも滞在中一度も人身事故は無かったが交通違反は何回かあった。
 米国は土地が広く安いせいか、街中に有料駐車場が沢山ある。道路にはパーキング・メーター付きの駐車スペースがあり、個人経営者の駐車場 より安いので利用者も多いが、タイム・オーバーによる駐車違反者も多い。違反者には所要事項の記入された切符がワイパーに挟まれる。切符は 封筒になって居てパトロールの居る場合は罰金四ドルを入れて渡す。居ない時は四ドルの小切手を切って封筒に入れて宛先に送る。駐車料の積りで 敢えて罰金四ドルを払う者も居る。放置すれば自宅に督促が来る。そして違反ポイントが付く。滞米中何回か小切手送金をした記憶がある。
 その外に、交通規則違反と言う事でパトカーに二回捕まった事がある。一回目は、日本から出張で来た者のゴルフクラブを買いに郊外に行った 帰り、高速道路を降りて、暫くしたら、後からパトカーが「ホワイト・クライスラー・プルトゥザ・ライトー」(白いクライスラー右へ寄せて 止めろ!)と繰り返し呼ばれた。寄せて止めたら警官が来て「お前は高速を降りて支道に入っても,同じスピードで走って居た。二十マイルの オーバーだ。ここで罰金二十ドル払うかそれともコート(裁判所)に行くか?」というから、私は「アイルゴートゥザコート」(裁判所に行く)と 答えた。それは罰金は会社に請求できる金ではなく、コートに行って講習を受ければ免除されるという話を聞いて居たからである。
 警官は書類を作って呉れたので、指定された通りコートに行った。コートと言っても日本の小学校の教室の様な部屋が幾つかあって、速度違反、 信号無視などのカテゴリーごとに集められ、名前を問われた後、何分間かのスライド映写や、お説教があり、無罪釈放。半日は潰れたが、罰金は 助かった。
 二回目は「インプロバー・ターン」(不適切な右左折)違反。シカゴ市の中心を南北に走るメインストリート、ミシガン・アベニューの一番 レーン(日本の最低速レーン)を走って行ったら、交差点の手前にパトカーが止まって居た。仕方なく二番レーン(一つ高速側のレーン)に移って 右折した。その時、そのパトカーがサイレンを鳴らし、私の「ホワイト・クライスラー」を呼び止め、黒人の若い警官が出て来て、二番レーンから の右折は違反(インプロバー・ターン)だと言う。私は「何を言うか、君が一番レーンに止まって居たから二番レーンに移って右折したのだ。
最適な右折(モースト・プロバー・ターン)だ」と言い返してやった。そしたら「文句があるならコートで言え!」と切符を呉れた。その切符を 持ってコートに行ったら、前回同様のプロセスを経て無罪釈放になった。余り経験したくない経験であった。